「侍の刀はなァ 鞘におさめるもんじゃねェ 時分の魂におさめるもんだ」

「時代はもう侍なんざ必要としてねェがよ どんなに時代が変わろうと」

「人には忘れちゃならねーもんがあらぁ」

「たとえ剣を捨てるときが来ても 魂におさめた まっすぐな剣だけはなくすなっ」

ゲホッ! ガハッ!! ゴホッ!!!

父上!!

「…ああ 雲一つない江戸の空… もう一度拝みたかったなァ…」

――侍の国――

~僕らの国がそう呼ばれていたのは今は昔の話
     かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には、今は異郷の船が飛び交う。
           かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には今は異人がふんぞり返り歩く~

「だからバカ おめっ…違っ… それじゃねーよ!! そこだよ そこ!!」

「おめっ いまどきレジ打ちなんてチンパンジーでも出来るよ!!」

「オメー人間じゃん!一年も勤めてんじゃん!何で出来ねーんだよ!!」

店長(ハゲ)が店員に怒鳴りつける。

「す…すいません 剣術しかやってこなかったものですから」

店員のメガネがハゲに言う。

てめェェェェ まだ剣引きずってんのかァ!!

といった直後にメガネの頬に殴った。

ぐはっ!!!

というとメガネはレジの前に倒れこんだ。

「侍も剣ももうとっくに滅んだんだよ!! それをいつまで侍気取りですかテメーは!!あん?」

倒れこんでいるメガネを見下ろしながらハゲは言った。

「オイオイ そのへんにしておけ店長」

ネコ男が店長(ハゲ)に言う。

「オイ少年 レジはいいからミルクを頼む。」

「あ…ヘイ ただいま」

やる気のない返事でメガネが言う。

旦那ァ甘やかしてもらっちゃ困りまさァ

「いや 最近の侍を見るとなんだか哀れでなァ 廃刀令で刀を奪われるわ職を失うわ」

「ハローワークは失業した浪人で溢れているらしいな」

「われわれが地球に来たばかりの頃は事あるごとに侍たちにつっかかってきたもんだが」

「こうなると喧嘩友達を失くした様で寂しくてな」

するとメガネがミルクをもってネコ男の方に行った。

ガッ!!! ドガシャーーーン

ネコ男がメガネの足を引っ掛けた、するとネガネは勢い良くこけた。

ついちょっかい出したくなるんだよ

ネコ男の集団が笑う。

~二十年前突如江戸に舞い降りた異人「亜人」
       彼らの台頭により侍は弱体化の一途をたどる
                           剣も地位ももぎとられ~

「何やってんだ新八!!」

「スイマセン お客さん!!」

「オラッおめーが誤んだよ!!」

~誇りも何も僕らは捨て去った~
           いや…侍だけじゃない
                 この国に住まう者はきっとみんなもう…~

「おい」

白髪の男が店長を見下げていった。

「?」

店長がえ?みたいな顔で見てると

ドガッ!!!!!

鈍い音と同時に店長ががふ!といってネコ男たちの机に当たった。

「わっ!! なっなんだァ!? 何事だァ!!」

ネコ男たちが声を揃えて言う。

~――!? 侍!?~

白髪の男は腰に木刀を持っていた。

「なんだ貴様ァ!! 廃刀令の御時世に木刀なんぞぶらさげおって!!」

ネコ男たちが白髪の男に言った。

「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ 発情期ですか?コノヤロー」

冷静な口調でネコ男たちに言う。

「見ろコレ…てめーらが騒ぐもんだから」

見ろと言ったものはカップらしきものだった。

「俺の…俺のチョコレートパフェがオマエコレ…」

「まるまるこぼれちゃったじゃねーか!!」

と言った同時に木刀を振り、ネコ男の頭を直撃!

「きっ…貴様ァ 何をするかァァ!! 我々を誰だと思って…」

「俺ァなァ!!医者に血糖値高過ぎって言われて…」

「パフェなんて週1でしか食えねーんだぞ!!」

すると4人ほどいたネコ男たちが全てが倒れた。

~そいつは侍というにはあまりに荒々しく
      しかしチンピラというにはあまりに

「店長に言っとけ 味は良かったぜ」

             真っ直ぐな目をした男だった~

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